観の目
眼球の力を抜くには、焦点を合わせない目線にすることが必要です。
眼球の力を抜くことは、顎の力を抜くことと並んで、緊張を解く重要なポイントです。
焦点を合わせない目線の事を観の目と言います。
どこかに焦点を合わせているという事は、常に眼球を動かす筋肉や水晶体を調整する筋肉を収縮させている状態になります。
もちろん必要な時は焦点を合わせるべきなのですが、必要ない時にも常にどこかに焦点を合わせることが癖になっている人が圧倒的に多いです。
そういう人の場合、目を閉じて楽しにしてもらっている時でも、まるでどこかに焦点を合わせているような眼球の動きをしています。
これは、普段から常に近くの何かに焦点を合わせている癖の現れなのですが、どこかに焦点を合わせているという事そのもが実は緊張なんです。
どこかに焦点を合わせていると、焦点の周辺以外はあまり意識に入ってきません。
その為、目には映っているのに認識出来ていないという様なことが多くなります。
それで常に焦点を移動させ続けないと周辺の様子を把握できないので、余計に眼球が疲れてしまうという事にもなります。
視界の中での動きに対しても鈍感になります。
観の目は遠くを眺めているような目線
観の目は、焦点を合わせない目線なのですが、それは遠くを眺めている時の様な目線です。
その状態で近くのものも把握する感じにします。
慣れてないうちは、つい近くのものに争点を合わせようとしてしまうのですが、近くのものの遙か後ろを眺めるような感じにすることを練習していけば出来るようになります。
このときの認識は、目で見るというより、目で感じる様な氣持ちで眺めるとやりやすいかも知れません。
赤ちゃんの目線は観の目が基本になってますが、成長するに従って焦点を合わせる目線を刷り込まれていき、それがデフォルトになってしまう様です。
どこにも焦点を合わせない状態は眼球を動かす筋肉も水晶体を調整する筋肉も力を抜いている状態です。
入ってくる視覚情報もかなり認識できますし、視界の中の動くものに対しても氣付きやすくなります。
一流の武道家やスポーツ選手は観の目を使っていると思われます。
そうじゃないと動きに反応することは出来ませんからね。
観の目だと視野の範囲も拡がりますし、視界ギリギリでの動きにも反応できます。
観の目は空間全体に注意を払っている目線
どこかに焦点を合わせているということは、そこしか意識していないのですが、どこにも焦点を合わせないということは、ある意味では、視界全体に意識を合わせている訳です。
目線的にはボーッとしている時の目線なのですが、ボーッとしてる時は、どこにも注意を向けていませんよね。
観の目の時は空間全体に注意を払っていて、意識は冴えている状態です。
そこが大きな違いです。
目を閉じて楽にするときは、仮想的な焦点を星空を眺めているような感じにすれはリラックスできます。
要は眼球の力を抜くってことですからね。
必要ないのに常に眼球に関わる筋肉を収縮させ続けていれば、当然疲労が溜まります。
ましてや目を閉じているときにまで焦点を合わせようとしていると、疲れを取る時間がありません。
視力が悪くなるのも必然ですね。
必死な時は焦点が近い
感性に意識を向けるためには、無駄な力を抜くことが不可欠であり、また、眼球の力を抜く事は、必死になってしまう癖から抜け出す大きなポイントです。
必死な時って焦点が近いですから。
閃きや直感を受け取るときは、観の目も重要です。
慣れてしまえば、普段の目線を観念目にできます。
普段は観の目で、細かい作業をする等、必要な時だけ焦点を合わせれば良いのです。
視力が回復した人もいる
普段の目線を観の目に変えたことで、視力が回復した知人もいます。
目の疲れが全然違うと言っていました。
そりゃそうです。
眼球に余計な力が入っていない訳ですから。
遠近感に関して
焦点を合わせないと遠近感が分からないでは無いか?と思う人もいるかも知れませんが、焦点を合わせる目線の様に、点と点で捉えるのではなく、観の目では空間全体を一体の構造物の様な感じで把握し、肉体感覚的に位置を把握するので、視野ギリギリにある物を掴む場合でも、視線を向けなくても位置を把握できたりします。
もっと細かく距離感が必要に為れば焦点を合わせれば良いだけですから、普段は観の目でいた方が危機管理的にも効果的です。
私は車の運転の時も観の目で運転していますが、道路状況をよく把握できるので、安全運転にも繋がっています。
視野ギリギリで動くものも感じることが出来るのは非常に役に立ちますよ。
観の目の練習方法
ぜひ、観の目を習慣にしてみて下さい。
始めは、星空を眺めながら練習するとやりやすいです。
星空を眺めているところに、手のひらを視界の真ん中に入れてみて下さい。
癖で手のひらに焦点を合わせてしまうかもしれませんが、その場合、再び星空を眺める目線に変えて下さい。
星空と手のひらを同時に眺めている感じですね。
このとき、背後を感じると観の目になりやすいです。